超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「海成くんって呼ばれてんの?」
「え、あ、まぁ……」
「なんで!?」
「なんでって、俺がそう呼んでって言ったから」
「はぁ!?」
昨日初めて会ってゆきちゃんを傷つけるようなこと言ったくせに、自分はちゃっかり名前で呼んでもらってんの?
むかつく……!
海成、お前ほんとひどいやつだよ。鬼だよ。
「え、泣いてる……?」
「おれだって、ゆきちゃんに名前で呼んでほしいのに……1回も呼んでもらったことないのに……」
悔しい。
海成がうらやましい。
むかつく。
いろいろな感情があふれてきて泣きそうだ。
てかほぼ泣いている。
「お、落ち着け……な?雪乃に頼めばいいだろ?」
「……気安くゆきちゃんの名前呼ぶなよ」
「いや、雪乃は雪乃だろ」
「うー……」
冷静に突っ込んでくる海成にやっぱりむかつく。
ちゃんと話そうと思ったけど、やっぱり話したくない。
「絶交だ!」
「おいっ……」
海成なんて知るか。
絶交だ。本当に絶交してやる。