超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。



同じマンションでもさすがに階までは違う。

海成の部屋に行くの久しぶりだ。


なんだかんだ仕事で会うくらいで、プライベートはそこまで一緒じゃない。


海成は大学に通ってるし、おれは仕事一本だしで時間も合わないから。



久しぶりでも関係なく、部屋に入ってくつろぐ。

そんなおれに特になにも言わず、冷蔵庫からいかにも体に悪そうな色の飲み物を出してゴクゴク飲む。


海成は甘党すぎるんだよ。
見てるだけで胸焼けしそう。

そう思って視線を変える。



「あ、この箱……ゆきちゃんとこのじゃん。え?なんで?」

「昨日行ったときに頼んだ」

「おいしかったでしょ?」

「めっちゃめちゃ美味かった」

「ちなみに?」

「フルーツサンド。ミックスジュースも飲んだけど過去一だった」



ゆきちゃんのとこはなんでもおいしいんだよ。

正幸さんと春乃さんがこだわって作っているんだから。
それを受け継いでいるゆきちゃん手作りのケーキもおいしいし。



「正直、もう一度行きたい」

「は?おれには行くなって言ったくせに、自分は行くつもりだったわけ?」

「だって俺は客として行くんだし」

「おれも客として行ってるよ」



半分、いやそれ以上にゆきちゃん目当てでもあるけど……。



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