超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「全てをおれの糧にする。だから、一緒に歩んでよ。海成にしかおれと同じ夢を見れないだろ?」
「颯……」
「心配かけたんだよな。言わなくてごめん。海成、おれのことだいすきだもんね。言わないから拗ねちゃったんだよね」
「……うるさい」
唇を尖らせる海成の表情はさっきよりもやわらかい。
おれも言えばよかったんだ。
海成になら言ってもよかったんだ。
でも、恥ずかしいじゃんか。
「これからは相談するから」
「いらない。絶対にめんどくさい」
「は?」
「……うそだって。全部俺に話せよ」
「うん」
「俺も……悪かった。颯の片想いだって知ってたのに、颯に言うのが怖かったから雪乃のほうに言った」
「おい。片想い言うな」
たしかにそうなんだけど……改めて言葉にされると傷つく。
がんばってるんだけどな。
「でも、いけると思うよ」
「え?」
「引き離そうとした俺が言うのもなんだけどさ、颯いけるよ。あの感じ、雪乃は……」
そこで言葉を止める海成。
気になるところで止めるなよ。
そう思って続きの言葉を待つけど、曖昧に笑うだけ。