超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
◇きみがいないとだめみたい
「雪乃、緊張してる?」
「うん……」
「なんかここ数日元気ないよね」
「……劇が不安で、ね」
「文化祭なんだしそんな気張らず楽しめばいいんだよ。雪乃のシンデレラめっちゃいいし」
いよいよ文化祭当日の朝。
だけど、気持ちは晴れない。
その理由は劇が不安なのはもちろんあるけど、それだけじゃない。
……空野さんに会いたい。
自分からもう連絡しないってメッセージを送ったのに、ずっとその気持ちが消えない。
空野さんはお店にも来ていない。
あんなメッセージを送って来るはずがない。
これでいいんだ。
これが普通なんだ。
空野さんは人気者。
ファンがたくさんいて、これからもっとたくさんの人を喜ばせていく。
いい夢を見せてもらえていた。
シンデレラの魔法が解けたみたいだ。
だけど、王子様が迎えに来てくれることはない。
海成くんの言った通り、わたしはシンデレラにはなれない。
世界が違ったんだ。