超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「花音ちゃん、ありがとう……がんばるね」
「うん。応援してるよ!最後ドキドキする~!!」
「わたしもだよ……怖いなぁ……」
「大丈夫!雪乃がいっちばんかわいいんだから!今日の主役だからね!!」
花音ちゃんの励ましに笑顔を向ける。
がんばらなきゃ。
あと1時間で開演だ。
「じゃあ、メイクするね」
花音ちゃんはメイクとヘアアレンジをしてくれる。
花音ちゃんこそ劇に出るべきだと思うけど、おしゃれな花音ちゃんはパパっと素早くしてしまう。
シンデレラが魔法でかわいくなるときも、手早く髪型をきれいにアップにしてくれる。
本当にすごいんだ。
はじめは素朴な感じだから下地をするくらいで、花音ちゃんの手ですぐに終わってしまう。
「桃田さん、つぎこっち!」
「はーい!」
すごくバタバタしてしまうのは仕方がない。
少しずつお客さんが入ってきている。
ドキドキする。
わたしも緊張してきて息ができない。
でも、今日は朝一に一度演じて終わり。
明日は2回も公演がある。
だからまずは今日、成功させなきゃ。