超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「白川、すごい顔」
笑い交じりの声が聞こえて顔を上げると、すでに王子様姿の黒瀬くんが立っていた。
髪型もいつもと違い、すごくかっこいい。
本物の王子様みたいだ。
「黒瀬くんはすごく王子様だね」
わたしとは大違いだ。
「白川もシンデレラだよ」
「さっきわたしの顔見て笑ったくせに」
「魔法にかけてもらう前のシンデレラな」
「なにそれ」
口を尖らせると黒瀬くんがあまりにも楽しそうに笑うから、なんだかつられて笑ってしまった。
黒瀬くんってこんなふうに笑うんだ。
「笑ったな」
「黒瀬くんが笑ったから」
「俺が笑うと笑うの?」
「え……」
急に真剣な顔をするから黒瀬くんの目を見つめる。
手が伸びてきてわたしの頬に触れた。
まだ暑いのにその手は少しひんやりとしていた。
「ねぇ、白川」
「はい……」
「この公演が終わったら、ふたりで文化祭回らない?」
「……え?」
驚いて思考が止まる。
文化祭をふたりで……?