超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
◇だれにも秘密の関係
「雪乃」
「はい」
「ミックスジュースとフルーツサンドふたつで、ひとつは持ち帰りにして」
「かしこまりました」
注文を受けて、わたしひとりで準備をする。
もう閉店の時間でお客様はほかにいない。
お父さんとお母さんも片づけと明日に向けての準備をしている。
その横を通り過ぎる。
「空野くんもかっこいいけど、もうひとりの人もかっこいいね。ふたりでアイドル?」
「そうだよ。でも内緒だからね。あと閉店後に使わせてくれてありがとう」
「わかってるわよ。でもアイドルが通うカフェなんて素敵ね。空野くんなら閉店後でも大歓迎よ。いろいろあるものね」
「ありがとう」
お母さんにお礼を言いながらフルーツサンドを出してひとつはお皿に、ひとつは箱に入れる。
ミックスジュースを注ぎ、カウンターに座る海成くんの前で出す。
「お待たせしました」
「いいよ、もう閉店でしょ。気楽にしなよ」
「あ、はい……」
「海成!!」
わたしの返事といきなり大きな声を出した空野さんの声が重なる。