超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
今後はもっと気をつけなければいけないから。
「ほら、海成」
空野さんが海成くんの肩をぽんと押す。
不思議に思い見ていると、海成くんが椅子から立ち上がりわたしの目の前まで来る。
「……た」
「え?」
「……傷つけるようなひどいことを言って、すみませんでした」
頭を深く下げるから、わたしより背の高い海成くんの頭頂部を初めて見る。
びっくりして固まったけど、すぐに手を横に振る。
「大丈夫ですから、顔をあげてください!海成くんが空野さんのことや夢のことを大切に思っているからこそですよね!」
わかってる。
空野さんはだれかひとりのためではなく、ひとりひとりのためにいる。
みんなを笑顔にするためにいる人。
アイドルの海成くんも必要としている人。
たくさんの人が空野さんを求めている。
だから、言われて当然だ。
「海成くんが空野さんのことをだいすきだってこと、わかってます」
「ゆきちゃん、そうなんだよ」
「おい……」