超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
呼び方は特にこだわりはないから好きに呼んでもらっていいけど、空野さんはむっとしている。
空野さんを見つめていると、わたしの視線に気づきじっと見つめ返された。
「……雪乃」
「っ…………はい」
真剣な顔で名前を呼ばれ、心臓がぎゅんってなった。
呼び方はなんでもいいって思っていたけど、空野さんに名前で呼び捨てされるとだめだ。
心臓がおかしくなる。
顔が熱くなる。
恥ずかしくて両手で顔を覆う。
「照れてやんの。俺のときは照れないのに」
「からかわないでください……」
「照れてる照れてる。雪乃が照れてる」
「海成くんっ!!」
ふざけはじめる海成くんに、恥ずかしさが倍増するから止めようとする。
でも気にした様子もなく、ニヤニヤ顔で見られてしまう。
「……おれも、名前で呼んでほしいな」
ボソッと呟くような空野さんの声に動きが止まる。
名前で……?