超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。



呼び方は特にこだわりはないから好きに呼んでもらっていいけど、空野さんはむっとしている。

空野さんを見つめていると、わたしの視線に気づきじっと見つめ返された。




「……雪乃」

「っ…………はい」



真剣な顔で名前を呼ばれ、心臓がぎゅんってなった。

呼び方はなんでもいいって思っていたけど、空野さんに名前で呼び捨てされるとだめだ。


心臓がおかしくなる。

顔が熱くなる。


恥ずかしくて両手で顔を覆う。



「照れてやんの。俺のときは照れないのに」

「からかわないでください……」

「照れてる照れてる。雪乃が照れてる」

「海成くんっ!!」



ふざけはじめる海成くんに、恥ずかしさが倍増するから止めようとする。

でも気にした様子もなく、ニヤニヤ顔で見られてしまう。




「……おれも、名前で呼んでほしいな」




ボソッと呟くような空野さんの声に動きが止まる。

名前で……?





< 177 / 400 >

この作品をシェア

pagetop