超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「……いじわるする海成が名前で呼んでもらえてるの、いやだな。彼氏はおれなのに」
「え、えっと……」
「雪乃が困ってんぞ」
「はじめに困らせたのはお前だろ」
「べっつに~?」
空野さんと海成くんがふたりで話しているけど、頭に入ってこない。
名前で呼ぶの?
出会ってからずっと“空野さん”だったのに?
「ねぇ、ゆきちゃん」
「はい……」
「と、その前に……海成は帰っていいよ」
「は?」
「もう用事済んだじゃん」
「でもまだ……」
「ふたりきりにさせてって言ってんの」
直球で伝える空野さんに、海成くんは大きなため息を吐く。
そして残りのミックスジュースを一気飲みして、フルーツサンドを手に持つ。
「もっとゆっくり飲んで食べたかったのに。仕方ねぇな」
「うん」
「また来るわ」
「待ってます。あ、これ持ち帰り用です」
「さんきゅ」
片手にフルーツサンド、もう片方にフルーツサンドが入った箱を持ってお店を出て行った。
よかったのかな?