超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「…………だいすき」
『……やばい、おれ、幸せすぎておかしくなりそう』
いま、颯くんがどんな顔をしているのか気になる。
けど顔を見てだったらきっとこんなこと自分からは言えないから、顔が見えてなくてよかった。
『おれも、雪乃がだいすきだよ』
颯くんは恥ずかしがる感じではなく、すんなりと言葉にしてくれる。
だからむしろわたしのほうが恥ずかしくなる。
『もうすぐドラマもクランクアップだし、会える時間もつくれるよ。寂しい思いさせてごめんね』
「大丈夫ですよ。テレビ見たり雑誌見たりしてます」
『うれしいけど、それはおれが寂しいな』
拗ねたように言う颯くんに笑う。
きっと、颯くんよりわたしのほうが寂しいと思ってるよ。
必死で隠してるよ。
それからまた少し話をしてから、電話を切った。
すでに日付けは変わってしまっている。
最近はこんなのばっかりだけど、幸せなんだ。
スマホを充電器に差し込んで、目覚ましをセットしてからすぐに眠りについた。