超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
ことあるごとに聞いてきて、なぜだか近くにいる。
黒瀬くんってこんなに心配性なんだ。
体育でしたドッジボールも白熱したし、本当に大丈夫なんだけどな。
授業中はちょっとウトウトするときもあったけど、なんとか乗り越えて放課後。
「花音ちゃん、わたし帰るね。また明日」
「うん、また明日ね」
花音ちゃんに声をかけてから教室を出るけど、やっぱり近くには黒瀬くんがいる。
「あの、黒瀬くん」
「なに?」
「ほんと大丈夫だから」
「だったらいいよな」
信じていない様子でわたしの隣に並ぶ。
クールな黒瀬くんがここまで心配性とはびっくりだよ。
「あ、黒瀬、ちょっといいか」
「いや……」
「じゃあね、黒瀬くん」
黒瀬くんが声をかけられたタイミングで、わたしは小走りで昇降口まで行って靴を履き替え校門に向かう。
本当に元気なのに、心配されすぎると逆に申し訳なくなる。
少し歩くとスマホが鳴ったから、見ると颯くんだった。
この時間にめずらしい。
ドキドキしながら内容を確認しようとする。
「危ない!」
「よけて!!」
「え……?」