超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。



忙しいお昼時を乗り越えて、お客様がいない時間ができる。


その間にテーブルを拭いたり、ごみをささっと掃いたりして店内を清潔にする。



「ゆきちゃん、休憩入るわね」

「わかった」

「たぶん大丈夫だと思うけど、たくさんお客さんが来たら遠慮なく声かけてね」

「うん」



わたしの返事を聞いてからお母さんはニコッと微笑んで裏のほうに行く。

食器を洗い終わったお父さんもわたしに一声かけてから休憩に入った。


いまはだれもいないから、ゆっくり店内を掃除してからカウンター内に入る。



――カランカラン


「いらっしゃいませ」


ドアベルの高い金属音に反射ですぐにお決まりの言葉が出る。

ドアのほうを見ると、黒いキャップを深くかぶり青のTシャツは濡れて体に貼り付いている若い男の人が立っていた。


雨降ってたんだ。

音小さくて全然気づかなかった。





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