超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
手を引いてもしっかりと掴まれていてわたしの力では無理やりにでも離すことはできない。
どうしよう……。
「ねぇ、連絡先教えてよ」
「そういったことは……」
「いいじゃん。これも注文」
「困りますっ……」
いままで手伝いをしてきて、幸いにもこういったお客様がいたことはなかった。
だから、初めての経験でどうすればいいのかわからずパニックになる。
お父さんもお母さんも忙しくて、フロアを気にする余裕はなさそうだった。
ここは自分でなんとか解決しないといけない。
「ご注文を繰り返します。コーラがひとつ、メロンソーダが……」
「いいからさ。ね、連絡先」
「ひゃあっ」
ぎゅっと痛いほど強く握られていただけだった手が、今度は指先で嫌らしくなぞってくる。
そのままわたしの腰のラインに触れられて、気持ち悪さから小さく悲鳴を上げてしまった。