超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
首を傾げる田中さん。
ゆきちゃんが倒れた!?
心臓が嫌なふうに脈打ち始める。
「目を覚まさないとかゆってたような……」
「目を覚まさない!?」
「はて?屋上から落ちたんだっけ?」
「お、屋上からぁ!?」
「もう出てから2時間経つのか」
どうしようどうしよう。
とにかくゆきちゃんがピンチだ。
電話!
ゆきちゃんの番号しか知らないけど、もしかしたら春乃さんが出てくれるかも。
「田中さん、また!」
「あいよ」
田中さんに手を振りこの場を後にする。
ゆきちゃんに電話をかけるけど、コール音が続くだけで繋がらない。
それでも何回もかけなおす。
ゆきちゃん、無事でいて……。
『…………はい』
「その声……黒瀬くんだね。どうしてゆきちゃんの電話に?」
やっと繋がったと思えば、黒瀬くんの声でむっとする。
なんでゆきちゃんのスマホに出るんだよ。