超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「ゆきちゃんと連絡を取り合えるの、たまたまだと思ってた。でも、ゆきちゃんが無理して合わせてくれてたんだよね」
「……それ、黒瀬くんが言ってたんですか?」
「え?」
「スマホ……たくさん着信があったけど最後だけ通話されてたから……話したのかなって……」
そんなところまで見てたんだ。
名探偵みたいだ。
「うん。ゆきちゃんの顔色が最近よくなかったって聞いた。おれは気づけないのに、黒瀬くんは気づいてた」
「それは、黒瀬くんは学校で会うからで仕方ないです。それに、わたしが颯くんと話したくて勝手にしてたことだし」
ゆきちゃんのその気持ちはうれしい。
すごくすごくうれしい。
「うれしいんだけど、ゆきちゃんの体調をいちばんに考えてほしい」
「…………」
「今回の、心臓が止まるかと思った。心配でおかしくなりそうだった。もうこんなの、二度といやだ」
大袈裟かもしれないけど、それくらいの大事件だった。