超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
捨てゼリフに対して負けないほどの強く印象に残るセリフをにこやかに返す。
舌打ちをしてテーブルを蹴ってから4人グループはお店を出て行く。
「……ふぅ、怖かったなぁ」
息を吐いてからわたしの頭を撫でてくれる。
抱き寄せていた肩を離して目が合った。
「あ、ありがとうございます」
「うん、怖かったね。ほら、唇赤くなってる」
正面から向き合ってわたしの唇に触れる。
それにはびっくりして目を見開いたけど、空野さんの心配したような表情が視界に映る。
さっき噛み締めたからだ。
優しく親指で撫でられて、なんだか心拍数が急に上がる。
怖さから解放されたからかな?
さっきは全く動けなかったから、もしかして心臓も動いてなかった?
いや、そんなことはあるわけないよね。
でも、脈がおかしい。
ドキドキする。