超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「シートベルト、つけさせてね」
乗り心地に感動してまだつけていなかったわたしの奥へ手を伸ばす。
急に体が近づき、颯くんの優しい甘い香りが直接鼻に届いて緊張で固まる。
一瞬至近距離で目が合い、すぐにカチッと音を立てて離れていく。
……ドキドキしたぁ。
もう、心臓がおかしい。
「それでは、出発します」
「お、お願いします」
ドキドキしながら初デートがスタートした。
やっぱり人通りを避けたいこともあって、今日は颯くんの運転で移動する。
車は今年の誕生日に両親が買ってくれたらしい。
さすが芸能一家。
「ゆきちゃん髪切ったね。かわいい」
さり気なく言ってくれるところにきゅんとした。
だめだ。
いつもかっこいいのに、今日はそのいつも以上に颯くんがかっこよく見える。
胸の高鳴りを抑えながらお礼を言う。
「颯くんも色変わってる。似合ってます」
「ドラマ終わったからね。ゆきちゃんはこっちがすき?」
「んー、どっちも素敵だから選べない……。颯くんが素敵だから、うーん……」