超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。



「ちゃんと助け求めなきゃ。あんな人には気を遣わず自分の身を守ってね」

「はい……」

「わかればよろしい」



優しい笑みを浮かべる空野さんにホっとして視界が緩む。

空野さんがいてくれてよかった。

ヒーローみたいだった。



「雪乃ちゃん、大丈夫だった?ごめんね、見てるだけでなにもできなかった……」

「いえ、大丈夫です。お騒がせしてしまいすみません」

「あんた男前やね」

「ゆきちゃんのピンチだと思って」

「ハッハッハ。雪乃ちゃんこんな男前に好かれて幸せだね。あたしも坊やに負けないくらいこのお店にお金落とすよ」

「おれもゆきちゃんに貢ぐんで」



昔からの常連さんと空野さんが笑いながら話をしている。

お客様がたくさんいる前であんな騒ぎを……。


わたしがもっと冷静にさらっとその場をやり過ごすことができていればよかったのに……。




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