超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
目の前まで画面を持ってこられ、しぶしぶ見る。
そこには深くフードをかぶった藍原くんが、スマホを持ちながら体をねじっている写真。
いや、なにしてるの?
思わず突っ込みたくなる。
《現在地がわからなくてスマホと一緒に体を動かす藍原凌馬》
と説明が書かれている。
そんなことあるか?
なんて思っていたのもつかの間。
「……え?」
おれは一枚の写真に釘付けになる。
《通りすがりの人に道を聞く藍原凌馬》
その通りすがりの人、顔は隠されているけど、髪型や雰囲気がぜったいにそうだ。
このスニーカー、最近買ったって写真も送られてきた。
カバンにも見覚えがある。
間違いない。
「ゆきちゃん、だよね?」
「は?」
「この通りすがりの人ってゆきちゃんだよね!?」
「いや、知らんけど……」
「ぜったいにそうなの。え、なんで?」
「道聞かれたって書いてあるじゃん」
「だめだよ。ゆきちゃん見たらみんなすきになっちゃう」
「たしかに俺もけっこうすきかな。おもしろいし……って、おい、それ俺のスマホだから!!」