超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
海成の言葉にイラっとして、窓を開けてスマホを投げようとすると全力で止められて、スマホを抜き取られた。
冗談だよ。
半分くらいは。
ゆきちゃんが好かれるのは当然だし、うれしい。けどうれしくない。
おれだけでいいのにな。
おれだけがいいのにな。
「藍原くんと知り合いなのかな?」
「いや、道聞いただけだって」
「でもほら、この世には一目惚れってあるじゃん」
「お前は一目惚れなん?」
「秘密」
「なんなんだよ」
海成には教えてやんない。
というか、ほかのだれにも教えてやんないよ。
おれとゆきちゃんの思い出はふたりだけのものだ。
「だめだ。気になる……」
「もうすぐ本番だぞ。切り替えろ」
「海成が本番前に見せるのが悪い」
「俺は藍原を見せるつもりだっただけなんだけど。まず、それが雪乃とは限らないだろ」
「それって言うな」
「お前めんどくさい……」
ゆきちゃんは本当にかわいいんだ。
内面から出る優しさやかわいさがあふれ出ていて、魅力的なんだよ。