超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
モヤモヤしたまま、時間になり寒空の下に出る。
用意されていた台本のようにしゃべったり、アドリブでしゃべったり。
特に問題なく中継が終わる。
今日の仕事はこれが最後。
だからあとは家に帰るだけ。
「お疲れ様です」
声をかけて、海成を置いて車に素早く乗り込む。
自分のスマホでも、藍原くんのネットニュースを見る。
《かわいいすぎるの声多数》
とトピックに上がっている。
そんなことはどうでもいいんだ。
ゆきちゃんが藍原くんになにかされていないかが心配。
おれも藍原くんがどんな人なのか、あまり知らないし。
おれに対する印象ではクールで冷たいぶっきらぼうな感じがある。
やっぱりどうしても気になるから、ゆきちゃんに直接聞こう。
それがいちばんいい。
心臓がバクバクする。
おれの心配のしすぎならいいな。
そう思いながら、ゆきちゃんへ電話をかけた。