超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
ゆきちゃんがおれのことで気づくように、おれもゆきちゃんのこと気づくんだよ。
ゆきちゃんが隠しているとかじゃなくて、ゆきちゃんの周りのことに想像がついてしまうんだ。
『アイハラくん……?』
この感じは本当に知らないのかもしれない。
とぼけているわけでも、誤魔化しているわけでもなさそう。
そのことにホッとする。
『アイハラ、アイハラ……あ!もしかして、藍原凌馬くんですか?』
「え、知ってるの?」
何度も苗字を繰り返し、思い出したかのように彼のフルネームを言った。
知ってる……?
いや、待って。
おれが出てたドラマで藍原くんと共演していた。
ゆきちゃんはそのドラマを見てくれていたから、それで知っているだけかもしれない。
落ち着け、落ち着け……。
『逆に、颯くんの知り合いなんですか?すごい偶然ですね!』
うわ、これは嫌な予感が当たる予感……。