超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




『凌馬くんがどうかしましたか?』


しかも名前呼びだし……。

出会ったのは最近でしょ?


おれなんて、名前で呼んでもらうまでに何か月かかったか……。



不安になる。
ゆきちゃんはおれのことすきだってわかってる。

けど、本当にゆきちゃんはかわいいから。

最近あんまり会えていないおれより、よく会っている藍原くんのほうがいいって思うんじゃないかって。



ゆきちゃんを信じていないわけではない。

おれが自分に自信がないんだ。


寂しい思いばかり、我慢ばかり、ゆきちゃんにはさせている気がして、それが不安なんだ。




『颯くん?』


不思議そうに、心配そうに名前を呼んでくれる。
そんなゆきちゃんのことが愛しくてたまらない。


だれにもとられたくない。




『やっぱり、体調悪いとかですか?』



黙ってしまったおれに優しくも不安げな声をかけてくれる。

おれ、だめだなぁ。




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