超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




いろんな感情が込み上げてくる。

自分でもよくわからない。


こんなの生まれて初めてだから。

恋愛ドラマや映画で演じたことはあるけど、実際の恋愛なんて知らなかった。


いま初めて、演じてきた役の気持ちが痛いほどわかる。




「あとでね」

『え、あ、はい?颯くん?』



不思議そうに、おれの言葉を理解していない様子のゆきちゃんだけど、電話を一方的に切った。

こんなことは初めてした。


いますぐ、行かなきゃって思った。

ゆきちゃんにいますぐ会いに行かなきゃって。




「ソラ、ちゃんとスタッフに挨拶しろよ。どうしたんだ?」

「マネージャーごめん。つぎから丁寧にするから今日は見逃して。あと今日はもう終わりだよね?車だして、いますぐ」

「ほんとどうした?それにまだアオが戻ってきてない」

「それでもいいよ」

「おい、ほんとどうした?」

「お願い。ほんとお願い。いますぐ行かなきゃだめなんだよ」




< 284 / 400 >

この作品をシェア

pagetop