超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
おれの様子に困惑している様子のマネージャー。
もう平静を保っていられない。
「話聞こうか?ソラが取り乱してるなんてめずらしい」
いまはこんなふうに話している場合じゃない。
「車出してくれないなら、降りる。また明日」
「こら、だめだ。わかったから」
そう言うと海成を呼びに行きすぐに連れ戻してきた。
海成はなんとなく察したのかため息をついていたけど、なにも聞いてこなかった。
ゆきちゃんの家まで車で行くわけにもいかず、近くのコンビニに降ろしてもらいそこから走った。
全力で走った。
ロールスクリーンから漏れる光。
まだ、いる。
確信してお店のドアノブに手をかけた。
藍原くんがいるからか、鍵が開いていた。
ドアベルが鳴り、その音に反応してふたりの男女が振り返った。
「颯くん!?」
「ソラ!?」
ふたりの声が重なる。