超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
藍原くんの表情が変わる。
確信。
藍原くんはゆきちゃんのことがすきだ。
「雪乃」
おれではなく、ゆきちゃんに声をかける。
名前を呼ぶその声だけで、特別に思ってるのがわかるからむかつく。
ゆきちゃんを名前で呼ぶのもむかつく……。
「ソラと付き合ってんの……?」
ゆきちゃんは体をピクッとさせて、迷っている様子でなにも言わない。
言えないんだろう。
もうほぼおれが言ってるのに、はっきりと言葉にはしない。
それは気をつかってくれているのだと、わかっている。
わかっているけど、いまはその気遣いに寂しくなる。
「付き合ってるよ」
「ソラには聞いてない」
代わりに答えるけど、おれを鋭く睨んでくる。
おれとゆきちゃんを見る目がまったく違う。
ゆきちゃんが魅力的なのが悪いんだよ。
だから、ほかの男もゆきちゃんをすきになっちゃうんだ。
いつもポジティブなおれでも不安になるんだよ。