超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
◇きみのことばかり
『藍原くんとばっかり仲良くしてたら妬くからね』
颯くんにそう言われたんだけど……。
「雪乃、またたくさん注文していい?」
「いつ?お父さんに確認しとくね」
「さんきゅ。こまかいことはメッセージ送る」
「うん」
「あ、雪乃」
「はい」
凌馬くんから離れようとすると、不意に手をつかまれる。
驚いて凌馬くんを見ると、にこっと微笑まれた。
「前髪はねてる」
「えっ?」
空いている手で前髪を押さえる。
だけど、凌馬くんの手によってその手をとられ、前髪に優しく触れる。
撫でるようにして、前髪を整えてくれた。
「これでよし。すごいドジっ子感でてた」
「それは恥ずかしいなぁ」
「……かわいいけどな」
「え?なにか言った?」
「な、なんでもねぇよ!」
わたしからパッと手を離して顔を背ける凌馬くん。
……本当は聞こえてたよ。