超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
『いやだよ。いやに決まってるよ。ゆきちゃんはおれのだもん。藍原くんばっかりゆきちゃんに会ってずるい!』
初デートのときにもらったペンギンのぬいぐるみを抱き締める。
颯くんの言葉に胸がぎゅっとなる。
正直に言えば、颯くんの気持ちがうれしい。
そこまで想ってくれていることが、すごくうれしいんだ。
でも、いやな気持ちにさせていることはやっぱり悲しい。
『ゆきちゃんに会いたい』
「わたしも、会いたい。いつも颯くんのことばっかり考えてる……」
頭の中は常に颯くんのことでいっぱいなんだよ。
会いたくて仕方がないんだよ。
この気持ちは、ずっとあって消えたことはない。
でも、どうしたらいいんだろうか……。
『ごめん、大人げないね。困らせること言った。ゆきちゃんは変に意識せずに、普通に藍原くんに接していたらいいよ。お客さんだもんね』
そんなことを言える颯くんは大人だよ。
たしかに困るけど、妬いてくれたらうれしいって思うわたしもたしかに存在するから。