超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。



隣の颯くんに全神経が注がれている。


絡めた指から全身に熱が伝わっている。




「口説いたらだめだよ、ソラくん。白川さんは彼氏いるんだから」

「へぇ、彼氏いるんだ。その彼氏は幸せだろうね」



ニコッと微笑まれて、颯くんの笑顔にやられてしまう。

いじわるだよ!


体の水分が沸騰しそうなくらい全身が熱い。



――ガタッ


「……トイレ、行ってきます」



そのとき凌馬くんがいきなり席を立って出て行く。

凌馬くん、なんか表情がいつもと違ったな。


食べ過ぎで腹痛とかかな?


無意識で目で追ってしまうと「雪乃ちゃん」と呼ばれ隣を見る。


普段は“ゆきちゃん”って呼んでたまに呼び捨てで“雪乃”って呼ばれるけど、“雪乃ちゃん”は初めて呼ばれた。


一瞬で颯くんのほうへ引き戻される。




「雪乃ちゃんの撮影はどうだったんですか?」

「よかったよ。藍原くんと仲良いこともあって、すごく自然でテーマにぴったり」

「そうなんですね。じゃあつぎは僕とどう?」

「え、えっと……」

「白川さんは一般人だから。でも、いまなら撮ってあげるよ」




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