超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




そう言うと、カバンからカメラを取り出しわたしたちに向ける。



「もっと近づいて」


と、言われましても恥ずかしい。

だけど颯くんは絡めていた指を離してわたしの肩に手を置き引き寄せる。


いっきに近くなった距離に心臓が破裂しそうなほど音を立て始める。




「どうですか?」

「いいね」



そしてシャッターを押す。

ぜったい、変な顔してるよ……。



「おっけー!」



撮影のときみたいな声と同時に終わりを知らせ、颯くんの温もりは離れていく。

ドキドキだよ。


そのあと凌馬くんが戻ってきてまたみんなで雑談をしていたけど、だんだん仕事の深い話になっていく。

さすがに一般人のわたしが聞いていたらだめだと思い、タイミングを見計らって声をかける。




「あの、わたしそろそろ……」

「そっか。長いことごめんね。今日はありがとう」

「いえ、こちらこそ。あと……」

「食事代はいらないよ。気にしないで。お疲れ様」



本当にいいのかな?


途中で帰るのに、食事代も払わないなんて。




「気にすんなって」


凌馬くんに言われて頷いた。





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