超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。

まぁ、ここの世界の人は断りにくい空気をつくってくるから難しいのもわかるけど。


でもおれはゆきちゃんが心配だよ。

これでまたゆきちゃんの魅力が広まっちゃう。


おれが見つけたのに。
藍原くんより先に。

おれの彼女なのに。




「……みんなの前で彼氏いるって言ってくれたの、すごくうれしかった」

「当たり前です」

「メッセージでもくれたけど、すきなのはおれだけってうれしい」

「それも当たり前です」

「当たり前って言ってくれるのもうれしい」



ゆきちゃんの言葉はなんでもうれしい。

おれに隠さずに伝えてくれたこともうれしい。


ゆきちゃんの気持ちは伝わってるよ。
ぜんぶ伝わってる。


どれくらいおれのことを想ってくれているのかもわかってる。



おれの足の上にまたがるように座るゆきちゃんを強く抱きしめる。



それなのに、どうしてこんなに不安になるんだろう。





「……藍原くんに告白されてたね」