超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




歌いながら歩くアオくんにみんな手を振ってハイタッチして泣き崩れて……。

すごい、すごい!


心の奥底からなにかが湧き上がってくる感じがする。



「アオくーん!」


わたしもペンライトを振って必死にアピールする。

そのとき偶然にも目が合った。


気づいてくれた、かな?



「目が合った」

「うちも」



近くの席からもそんな声が聞こえる。

そっか。
みんなと目を合わせるんだ。


アイドルってすごいね。



そう思ってたらアオくんがわたしたちの目の前まで来て、手のひらを見せる。



ハイタッチかな?


わたしも手を上げるとハイタッチをして、笑ってくれた。

口パクで「たのしんで」と動いた気がした。



そして隣の花音ちゃんはアオくんの距離の近さに固まっている。

そんな花音ちゃんを見てなにか思い出したような表情をしてから頭をぽんとして、笑顔で手を振って走って行ってしまった。




「や、やばすぎる……神……しねる……腰抜けた……」



静かに涙を流しながら、椅子にもたれかかっている。

花音ちゃん、よかったね……!





< 378 / 400 >

この作品をシェア

pagetop