超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




「そう、黒瀬くんって返信ないんだよ」


あ、やっぱりそうなんだ。



「ねぇ、もういいでしょ。おれにかまってよ」

「え、まだ……きゃっ」

「だーめ。目の前のおれ、見てよ。いまここにいるのはゆきちゃんの彼氏」


無理やり颯くんのほうを向かせられ、わたしをあぐらをかいている颯くんの上に座らせられる。

恥ずかしい……!



「顔真っ赤」

「だって……」

「もっと意識して。テレビじゃなくておれを見て」

「テレビも颯くんじゃん」

「そうだけど、いまのおれが寂しがってるよ」



子犬みたいな表情でそんなことを言うなんて。

かわいい……なんて思ってしまう。


寂しがっているって言うから、頭をよしよしと撫でる。




「犬じゃないよ?」

「でもかわいかったから」

「それはゆきちゃんだよ」



顔をぐっと近づけられる。

でも、寸止めで止められてしまう。





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