超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
『あー、やっぱりゆきちゃんいいなぁ。おれと付き合ってよ』
「空野さんならもっと素敵な人いますよ」
『え?おれ、いま振られた?悲しい……』
「え、あの、その……か、からかわないでくださいっ」
しょぼんとした声が電話越しに聞こえるけど、空野さんはきっとからかっているだけだ。
だって、空野さんみたいな素敵な人が本気でそんなふうに言うわけないもん。
『からかってないけど』
「それをからかってるって言うんです」
わたしをからかってもなにもおもしろいことないのに。
むしろ、ちょっと真に受けてドキッとしてるくらいだもん。
こんなことするなんて空野さんは罪深いよ。
でも、やっぱり空野さんとお話するのは楽しい。
『ほんとなんだけどな……』
「あ、空野さん。今日はありがとうございました。わたしの友達の分までいただいて」
『どういたしまして。そのことで聞きたいんだけど、今日一緒にいた男の子とその……付き合ってたりする?』