超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「えぇ!?ないですないです!!」
『そっか。付き合ってないんだ』
「はい。わたし、だれとも付き合ったことないですもん」
『そうなの?じゃあ、おれが立候補する!』
「またからかってますね?」
そんなふうにからかわれても、どう返すのが正解かわからない。
いちばん難しい冗談だと思う。
『もう、ゆきちゃん……そこもかわいいけど』
「すみません、いま聞き取れなくてなんて言いました?」
『ん、大丈夫。なにも言ってないよ』
そうかな?
なにか言ってた気がするけど、言わないってことは重要なことでもなかったのかな?
『勉強はどう?』
「あ、今日でだいぶわかりました。きっとばっちりです」
『やっぱりゆきちゃんなら心配ないね。勉強もいいけど息抜きもちゃんとしてね』
「はい。いまとても息抜きになってます。空野さんの声ってなんだか心地よくて落ち着きます」
『なにそれ、うれしい。おれもいま息抜きになってるよ。ゆきちゃんと話すとホッとする』