超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
◇絶対、きみのせい
「ゆきちゃんってちょっとSっぽいとこあるよね。そんなところがまたかわいいけど」
「えっと……どうゆう意味でしょうか?」
「ほら、前おれが誤字したときに真似してきたじゃん?そうゆうのとか」
「それはなんだかかわいいなって思ってですけど……いやでした?」
「いやじゃないよ。ふたりだけの合言葉みたいだったし、むしろうれしいくらい。けど、ゆきちゃんもそんなことするんだなってびっくりした」
今日も空野さんが来てくれてカウンター越しにお話をする。
来ない日ももちろんあるけど、週に4〜5回は来てくれてるから多すぎるほど。
だから、空野さんとは随分気楽にお話できる間柄になった。
「空野さんにいい意味で慣れたんですかね?緊張せずにただただ楽しくて、わたしも素を出しちゃってます」
お客様だから程よく距離感も大切にしたほうがいいんだろうけど、空野さんにはもっと近い関係でいたいと思ってしまう。