超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
好きならよかった。
ブラックを頼むってことはあまり甘いもの好きじゃないのかもって思ってガトーショコラにしたから。
「こちら、サービスです」
わたしの勘違いだったら申し訳ないけど、やっぱり笑顔でいてほしい。
このお店にいる間でも、ほっとできて癒されてほしいから。
「……ありがとうございます」
「いえ、ゆっくりしてください」
ペコっと軽く会釈をしてからカウンター内に入る。
今度は厨房をピカピカにしようと決めて、布巾で拭いていく。
「……おいしい。これ、おいしいです!」
急に大きな声が聞こえてびっくりして肩が上がり、そちらを見る。
お客様が目を見開いてわたしを見ている。
あまりの勢いとリアクションに我慢できずに小さく吹き出してしまった。