超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
走って行ってしまう花音ちゃんとその後ろを急いでついて行く赤坂くん。
わたしは完全に出遅れてしまった。
帽子をカバンの近くに置いてから炎天下に飛び込む。
「白川」
「え?わっ……」
名前を呼ばれて振り返ると目の前が半透明のピンク越しに黒瀬くんの顔。
ビニールが顔に張り付く。
「持って行けよ。泳げないだろ」
「なんで知ってるの?」
「見た目」
「なにそれ!?」
浮き輪をお腹のところまで通しながら黒瀬くんにツッコむ。
見た目から泳げなさそうってこと?
どんな偏見だ!
たしかに当たってるんだけども!
ありがたく使わせていただきますよ。
「黒瀬くん、行こ!」
走り出すと黒瀬くんもわたしの隣を走る。
砂で滑って走りにくいけど、それすら楽しく感じてしまう。
海に来た!って感じがする。