超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。



「えっ?」

「うま」


驚いて目をパチパチする。

なんか、あーんしたみたいな形になってなかった?



「もうイチャイチャして」

「桃田、俺らもしよ」

「しないけど」

「ガーン」



花音ちゃんと赤坂くんがなにか言っているけど、頭に入ってこない。

驚きと手首の熱に戸惑う。



「く、黒瀬くん?」


名前を呼ぶとわたしの手から焼き鳥を抜き取り、わたしとは反対を向いて食べ始める。


びっくりした。

受け取るまで待ちきれなかったのかな?


よっぽど焼き鳥がおいしそうに見えたのかもしれない。




――ピコンっ


不思議で黒瀬くんを見ていたけど、カバンに入れていたスマホが鳴ったからそっちに視線を向ける。


カバンからスマホを取り出して見てみると空野さんだった。




《ゆきちゃん元気?なかなか連絡できなくてごめんね》


読んでいるうちにまたメッセージが送られてくる。


《いまなにしてる?お仕事中かな?》


それに返信しようとタップするとすぐに電話の画面に切り替わった。





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