超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「あ、ちょっとごめんね」
「いいよー」
電話に出ることを伝えると、花音ちゃんがすぐに了承してくれる。
立ち上がって海の家の裏に移動しながら応答をタップする。
「もしもし」
『あ、ゆきちゃん!既読がすぐについたから思わず電話しちゃった。いま大丈夫?』
「はい、大丈夫ですよ」
『最近お店に行けてなくてごめんね。早く行きたいな』
「忙しいんですよね?熱中症とか気をつけてくださいね」
『うん。ありがとう。ゆきちゃんの声聞いてもう癒されたよ』
本当に癒しになるのかはわからないけど、わたしにとっては空野さんとお話できるだけで笑顔になれる。
電話越しの声だと変わりなさそうで安心する。
『ゆきちゃんはなにしてたの?いま休憩中?』
「あ、今日はお店のお手伝いしてなくて。友達と海に遊びに来てるんです。いまちょうどお昼食べてました」
『そうなんだ。ごめんね、そんなときに電話しちゃって』
「大丈夫ですよ。気にしないでください。友達からも電話していいって了承もらいましたし」