超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




いるのに、とアトラクションのほうを見ながら思う。

わたしも行かなきゃ。




「わたしも行くので失礼します」

「いやいや、待って。ひとりじゃん。オレらと遊ぼうよ」

「ひとりじゃないので」

「もう、この際どっちでもいいよ。ほら、行こう」



いきなり手が伸びてきてわたしの手首を掴まれる。

掴まれたことへの恐怖を感じる間もなく勢いよく引っ張られたけど、反射で後ろに体重をもっていって踏ん張る。




「行くぞ」


だけど、すぐにさっきよりも強く引っ張られてしまう。



「きゃっ」



踏ん張りきかず、前に踏み出した瞬間、だれかに肩を抱きよせられて掴まれていた手が離れる。

そのまま強くぎゅっと後ろから抱き締められた。



あ、これは知ってる。



「ごめん。この子はおれの大切な女の子だから」


力強い声が耳にかかりドキッとする。



「チッ。男いんのかよ」

「ほか行こうぜ」



案外あっさり行ってしまった。

いったいなにをしたかったのかな?




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