超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
難しそうな顔をしている。
そんな空野さんがおもしろくて笑ってしまった。
「あーもう、ほんとそういうとこだよ!ねぇ、記念に写真撮っていい?」
「え?」
「だって、海で会えることなんてないじゃん」
「でもわたし水着だから……」
「だからいいんじゃん。せーの、いー」
「なんですか、その掛け声」
写真よりも空野さんの言葉のほうが気になってしまった。
その間に写真を撮られてしまう。
自然に肩に手を回されてドキドキする。
空野さんもそういうとこだよ!!
ナチュラルにそういうことをしてしまうんだから。
直に肌に触れた部分から熱くなる。
「あー、このままゆきちゃんと少しだけでも海で遊びたいな」
「えいっ」
「つめたっ」
スマホをポケットにしまいながらなにか言っていた空野さんに向かって、手で海水をすくいかける。
見事に当たって驚いている空野さんにしてやったり。
「ひゃっ」
笑っていると、いつのまにか空野さんも波打ち際に来ていて海水をかけられた。
「へへん。お返し」
「じゃあもっとお返しです」
ふたりで海水をかけあった。
空野さんは水着じゃないのに、思いきり濡れてカッターシャツが肌にはりついている。