I DON`T MISS YUO
1.ENCOUNTER
カコーン
ボールをバットで打った音がする
運動場の横の芝生に涙深は寝ころんでいた
涙深は中学1年生
時は4月
だから涙深は中学に入りたてほやほやだった
クラスでだいたいは友達はできた
早い子なんかはもう部活なんかに入り始める
でもまだ涙深は入ってはいない、というより入る気はない
運動も勉強もそこまでってわけじゃないから
そんなことでぼーっと空を見上げて何分たっただろう
5時間目からずる休みしてたらいつのまにか放課後になってた
はァ…と涙深が溜息をつくと
ヒューン…
2メートル横の地面に野球ボールが降ってきた
「…嘘…危な…」
冷や汗を一瞬かいた
こんなんあったたら普通に怪我すんじゃん…
そんな事を涙深が思った矢先
「すいませーん、ここら辺にボール落っこちてねー?」
そう言って野球のユニホームに身を包んだ少年が走ってきた
涙深は気だるそうに上半身を起こしボールの方を指差した
少年は涙深の指差した方向に走ってボールを拾った
「ありがとな!…って白銀涙深じゃん。」
涙深はびっくりしたように
「なんで知ってるの?」
「だって同じクラスじゃん。俺、山本武。」
「へーよく覚えてたね、」
「まぁ入学して2週間経ってるからな。」
そう言いながら山本は涙深の横に座る
「練習は?」
「終わりー」
「ふーん」
涙深はそっけない返事をした
「あ、」
涙深はいきなり声をだした
「思い出した。山本武…!女子にすごいモテる男でしょ?」
「そうか?」
「そうみたい」
「……」
「ちょっとなんでだまるの?」
「いや…なんか白銀ってそういう風に結構しゃべるんだなーって思って」
山本のその言葉に涙深は疑問を生じた
「なんで?」
「え、だって白銀ってなんつーか近寄りがたいっていうか…」
「…地味っていいたいの?」
少しキレ気味に言う
「そうわけじゃなくてなんかクールなのな!」
「は?」
「まぁそういうわけな、」
なんなんだこいつ
それが涙深の山本への第1印象だった