僕の世界の半分で
とある日の放課後。
彼女は帰ろうとした僕を引き止めて体育館裏に呼び出した。
そういうのに興味がなかった僕でさえ、そこが告白スポットと呼ばれていることは知っていた。
情報源はチャラ男代表――朝陽だ。
自分が今から名前も知らない彼女に言われる言葉くらい、大体予想はついていた。
……さすがに、続いて出た言葉は予想外だったけれど。
『試しに私と付き合ってみない?これから私のこと好きになってもらえるように頑張るから』
彼女を好きになることなんて、この先一生有り得ない。僕はそれを確かに自覚している。
頑張ってもらったところで、僕はきみのことをこれっぽっちも意識しないだろう。
『…ダメ、かな?』
ダメとか、ダメじゃないとか、そういう問題じゃない。ありかなしか、それで言ったら答えは100で無し。
――って、そう思うなら、面倒臭がらずにちゃんと断ればよかっただけなんだ。
あの時の僕の後悔はそれだけ。