僕の世界の半分で
無知な僕の質問に、菊花ちゃんは『何が違うんだろうね、本当…』と眉を下げて力なく笑っていた。
人は同じじゃない。平等でもない。
そんなの、わかりきった事実なのに。
ゆんが“チテキショーガイ”で周りと“違う”ことが、どうして菊花ちゃんに悲しそうな顔をさせているのかが、僕にはわからなかった。
『…結花は、幸せなのかな』
『幸せ…じゃないの?』
『結花が本当にやりたいことも伝えたいことも分からないから。…“普通”に産んであげられなくてごめんねって、…思っちゃうときもあるわよ』
『……』
『って。こんなの雅翔に言うことじゃないか。暗い話じゃないのにね!はい、この話終わりー!』
それ以上聞いてはいけないような気がして、僕は『…うん』と小さく頷いた。
本当は聞きたいことがたくさんあった。
僕が知らないゆんのことを、もっと知っておきたかった。
普通普通って、ゆんがゆんでいることは、僕にとってはずっと“普通”なのに。
普通に産んであげられなくてごめんね、なんて、そんなこと言わないでよ。