僕の世界の半分で





『雅翔は好きなように生きなさいね』



幼いながらに感じた苦しさと、その時菊花ちゃんに言われた言葉が、当時の僕にとっては どこかひっかかって仕方なかった。





『ゆんは見た目は普通だけど、見えない部分が何個か欠けてる』

『言葉、とか?』

『そうそう。あとは考える力とか。雅翔が学校で習って当たり前に出来る算数とか国語とか、ゆんはできない』



菊花ちゃんには聞けなかったゆんのことを壱くんに教えてもらった。
“チテキショーガイ”のゆんの、もっと詳しい話をその時初めて知った。


やればできるとかやらないだけとか、そういうんじゃなかった。


“チテキショーガイ”は治らない病気だ。
ゆんには、できないことがあまりにも多すぎる。


僕にとっての“普通”はゆんにとっての“普通”じゃない。


僕とゆんは、全然“違う”世界線にいる。


そこで初めて、僕は昔の自分の考えがいかに浅はかで無責任だったかを自覚した。



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