僕の世界の半分で





ゆんは同じ中学校だったけれど、通常学級ではなく、"ひまわり”と名前の付いた特別支援クラスの生徒だった。

放課後にきまぐれでゆんのクラスに顔を出せば、ひまわりクラスの先生方も生徒たちも快く僕を迎え入れてくれた。




『雅翔くんまたきてくれたの』

『ましゃ!かえります!』

『うん、帰ろう。先生、さよなら』

『はいさようなら。また明日』




その光景を見て、飽きずに陰で噂をする人は相変わらずいたけれど、≪雅翔と結花は幼馴染で小さい時からずっとこうだった≫という事実を誰かが広めてくれたらしい。

1年生が終わるまで刺さりっぱなしだった周りの視線は、2年生に上がったころには完全になくなっていた。


その噂を広めたのが誰かなんて、聞かなくても分かる。そんなことをするのは───あの双子しかいないから。




僕は恵まれている。

優しい先生と幼馴染が居なかったら、僕とゆんは、ずっと冷たい視線を向けられ続けていたかもしれない。


同時に、世界の理不尽と偏見に負けないように生きるのは簡単ではないことも知った。




< 34 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop