僕の世界の半分で




6時30分。

こんなに早く起きて僕にメッセージを送った後、きみはきっと母親に「はやくごはん食べなさい」「さっさと着替えなさい」とか、そんなことを言われても断固としてスマホを手離さないんだろうな、と思う。


スマホを握りしめ、既読がつくまで見つめていそうだ。

僕からの返信を待つ彼女の姿を想像するのは容易なことだった。



《おはよう ゆん。りょうかい、またあとで》



彼女にそう返信をして僕はメッセージアプリを閉じた。まだ布団から出たくないと思う気持ちを押し切って起き上がりベッドを降りる。


布団の温もりが恋しい。


ふあ…と欠伸をしながらカーテンを開ける。
春を感じさせる太陽は、寝起きの僕にはうるさくて仕方がなかった。



――今日は高校の入学式だ。



「はえーな…」



ぽつり。そう呟いて、真新しい制服に着られる。
つい1か月前まで来ていた中学の学ランとは違い、今日からはブレザー。

なんだか新鮮な気持ちだ。


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