僕の世界の半分で
「俺、浅木先輩のこと好きです」
はっきり、まっすぐそう伝える。
突然の告白に、彼女は驚いたように僕を見ていた。
「だけど…もうひとり、昔からずっと好きな人がいます」
怖がる必要なんてなかった。
壱くんの言葉を受けて、誰かが僕らを否定しても、僕はこれからもずっとゆんのそばで笑っていたいと思った。
浅木先輩と出会って、新しい感情を知った。
「好き」の種類はひとつじゃない。
浅木先輩とゆんに向ける感情はどちらも「好き」だけど、同じ色じゃないのだ。
間違ったことはひとつもなかった。
そのどれもが、僕にとっての“普通”だ。
僕の“普通”が理解できなくて彼女が離れていってしまっても、そういう運命だったのだと、ちゃんと正面から受け入れよう。
人には人の価値観がある。
全部を分かり合える人間はいないのだ。
ただ、もし。
もし彼女が、僕のぜんぶを知った上でそばにいてくれるなら。
───その時は全力で、きみを幸せにしたい。